微小金属検出機がもたらす最新の異物検査について
金属検出機とX線異物検査機
従来、食品・医薬品をはじめとする製造業において、金属検出機は品質管理上最も重要視され、原料から加工、包装の各生産ラインにおいて、導入コストの低さもあり異物検査としてメジャーな装置となっておりました。その後、生産工程の複雑さや包装材料の変化に伴い、また、金属以外の硬質異物を検査する方法として、昨今ではX線異物検査機の普及が進みました。
しかしながら、どれだけ金属検出機やX線異物検査機を導入しても、ステンレスワイヤーなどの線状金属や装置から削れ落ちたバリなどの摩耗金属、砂鉄のような微鉄粉については検出する事が非常に困難となっており、製造業の悩みの種となっております。
各製造者様は社内規定において、テストピースを用いた検出基準を設ける事で一定以上の異物を混入させない設備導入と運用を行っておられますが、基準を下回る異物についても対策しない訳にもいかず、更なる施策を行う必要に迫られております。
微小金属検出機 NTシリーズ
ニッカ電測が開発と製造を行っている微小金属検出機NTシリーズは、高性能磁気センサーを搭載し、従来の金属検出機やX線異物検査機では難しかった微小な磁性金属を効果的に検出します。磁気センサーはnT(ナノテスラ=10の9乗分の1テスラ)といった非常に小さな磁界を検出できますが、これは電圧に変換すると0.001ボルトという微小な電圧となります。しかしながら非磁性体には一切反応しない事から、アルミなどの包材や水分、塩分といった従来の金属検出機では渦電流の影響を受けるような製品にも一切影響されず、磁性金属のみを効果的に検出する事が可能です。この渦電流の影響を受けないとい強みは、従来設定感度を下げて使用せざるを得なかった製品に対しても有効であり、また同時に製品毎に感度設定を行う煩わしさとも無縁になる事で、設定ミスといったヒューマンエラーを最小限に抑える事にも繋がります。
この新型磁気センサーにより、一般包装品はもちろん、従来の金属検出機では検査が難しいアルミ缶やアルミ箔包装、検査精度の低いアルミ蒸着、塩蔵品、畜肉といった幅広い商品を最高感度の状態で検査する事が可能になりました。検出できる金属は磁性金属のみとなりますが、その大きさは従来の金属検出機やX線異物検査機では不可能であった微小な金属の検出が可能となります。
こちらはSUS304のワイヤーを切り出した異物のサンプルです。 長さは4mmありますが、太さが0.1mmと細い為、従来の方法では検出が困難でした。微小金属検出機では、このような針金の検出を得意としています。SUS304はオーステナイト系のステンレスである為磁性金属ではありませんが、曲げ、摩擦、切削といった応力が掛かる事で切断箇所に磁性を帯びます。この磁性を帯びた箇所が微小金属検出機のマグネットゲートを通過し磁束が印加される事により、磁気センサーが反応します。
一方、切り粉や鉄粉も微小金属検出機ではよく反応します。鉄粉は1粒づつこそ小さいものの、複数ある事で磁気センサーがその磁界の大きさを合算して、検出に至ります。また鉄粉だけでなく、SUS粉もすでに応力が掛かった状態である事から、検出する事が可能になっています。
図1では形状によって磁界がどのように帯びるかのイメージを分かりやすく比較しています。磁石のゲートをくぐり抜けた磁性金属はN極とS極が形成されて磁界を帯びます。線状の磁性金属は球状に比べてより大きな磁界を形成できる事から、細くてもある程度の長さがあれば検出する事が可能になります。
このように、微小金属検出機は従来の金属検出機とは全く異なる検出技術により、小さなワイヤーや鉄粉といった、実際の生産現場で発生する事の多い金属異物を検出する事を得意としております。
豊富なラインナップ
微小金属検出機NTシリーズは通過高さ60mmまで対応するスタンダードタイプと、120mmまで対応するハイグレードタイプなど、製品のサイズや特長に合わせてお選びする事ができますが、ハイグレードタイプの高さを下げる事で更に高感度の検査など、ご要望に応じたカスタマイズのご相談も承っております。他にも液体パイプ搬送ライン用や包装機に接続する小袋包装品用のシュートタイプもあり、生産ラインに合わせた設置が可能になっています。